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1.「思いやり目標と自己イメージ目標の効果を探る」

人は対人関係において、他者に自分の能力や優しさなどの好ましい面をアピールし、良い評価を得ようとする者もいれば、他者の幸せを高めるようとする者もいます。 Crocker & Canevello (2008; 2012)は、前者を「自己イメージ目標( self-image goals)」と呼び、後者をを「思いやり目標( compassionate goals)」と呼んでいます。本プロジェクトでは、日本における思いやり目標と自己イメージ目標の効果を研究しています。 
  1. アメリカでは、思いやり目標は対人関係を促進し、自己イメージ目標は対人関係を悪化させることがわかっていますが、日本ではどのような効果があるでしょうか。
  2. 日本人は欧米人に比べ、人の和を重視する傾向があると言われていますが、それは他者に対する思いやりによるものなのでしょうか。それとも自己の評価を高めるための方略なのでしょうか。
  3. 日本人はディスカッションなどで反対意見を述べたり、他者の間違いを指摘するのが苦手だと言われています。思いやり目標は、積極的な発言を促す効果があるでしょうか。
  4. 「お節介」と思われ、「余計なお世話」となることを気にするあまり、日本人は見知らぬ他者に対して援助を控える傾向があります。思いやり目標は、見知らぬ他者に対する援助行動を促す効果があるでしょうか。

2.「失敗から学び成長するための方法を探る」

人は頑張っている分野で失敗すると、自尊心が傷つきます。失敗を恐れて、あえてチャレンジを避ける人もいます。しかし、失敗こそ学びのチャンスでもあります。失敗の脅威から自尊心を守り、失敗から学び・成長するための方法について研究しています。


3.「甘えが対人関係に与える影響を明らかにする」

人に甘えられると、「迷惑だ」と感じることもあれば、「頼りにされている」と感じ、うれしく感じることもあります。大人の甘えは、どのような条件で、どのように対人関係を促進させるのか研究しています。


4.「起業家プロジェクト」

日本ではアメリカに比べて、まだまだ起業する人が少ないという現状があります。既存の枠組みに自分を合わせるのは日本人の得意とするところですが、自ら新しい枠組みを作り上げるとなると、多くの人が躊躇します。新しいことにチャレンジしようとするモチベーションを高める方法について研究しています。


5.「主観的時間プロジェクト」

時間は一日 24時間、1時間は 60分と決まっています。時は誰にとっても同じ速度で流れている客観的なものですが、 2時間の映画があっという間に終わってしまったと感じることもあれば、 15分の面接が永遠に終わらないように感じることもあります。また、仕事に時間を「取られた」と感じることもあれば、仕事のために時間を「作る」こともあり、時間に対する見方によって、時間の流れ方が異なってきます。時間に対する考え方が、時間の体験にどのような影響を与えるのか調べる研究をしています。